恋をすると可愛くなる科学的な理由

「あの子、最近かわいくなったよね。恋でもしてるんじゃない?」なんてセリフがあるドラマや漫画は少なくありません。実際、誰かと付き合うようになって、身なりを意識して変わるなんてことは、珍しいことではないでしょう。

一方で、それだけではない変化を見せる人もいます。「あの人、肌ツヤが良くなったよね」なんていうのは、表面的な変化だけではない一例です。このような変化を科学的に考えてみたのが当ページになります。

恋愛による変化を科学する

ドーパミン作用説

ドーパミンは中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリンやノルアドレナリンに変化します。脳内麻薬とも言われ、快感を増幅するほか、幾つかの能力を高めると言われています。例えば、やる気、記憶力、行動力、集中力など。

ドーパミンは自分が認められたとき、好奇心が満たされたとき、好きなことをしているとき、そして恋愛の初期段階において多く分泌されます。逆に、恋愛初期ではセロトニンの分泌が抑えられます。セロトニンは安心に関わる物質で、少ないと不安が募る傾向にあります。

ドーパミンには、放出されると心拍数が上がり、血流が良くなって代謝が上がる。興奮で瞳孔が開くといった効果もあります。「誰かを好きになったらドキドキして不安」というのは、ドーパミンの分泌量が増え、セロトニンが減少しているからでしょう。恋をして目が輝くのは、瞳孔が開いているからかもしれません。

ただ、セロトニンの量は男女で差があります。女性が作れるセロトニン量を100とすると、男性は150以上作れると言われています。女性の方が男性よりも不安を感じやすいので、うつ病の発症率は女性の方が高いという指摘があります。

ドーパミンはアドレナリンやノルアドレナリンに変化すると書きましたが、ノルアドレナリンに変化した場合は痩せることも考えられます。ノルアドレナリンは満腹中枢を刺激し、脂肪分解や脂肪燃焼を促進する効果がある為です。

以上のような変化が、表面的ではない変化と言えるのではないでしょうか。

恋愛の賞味期限を科学する

恋愛の賞味期限は3年説

恋は3年で終わるという説の根拠は、恋愛初期で分泌量が増えるドーパミンが、3~4年で出なくなるという点にあります。ずっと出し続けていると脳も疲れるので、やめてしまうようです。

ドーパミンが脳内麻薬と言われている通り、多く出ている間は脳も限定的なマヒ状態。相手を冷静に見れていないところがあります。どうして こんなことになるのかと言うと、すべては子孫繁栄の為なのだとか。子作りは負担なので、思考をマヒさせないと、行為に及んでくれないからだと主張する人がいます。

このマヒ状態はアルコールの摂取でも引き起こされます。飲酒によって脳のブレーキが外れると、本能行動に関係する視床下部が刺激され、そういった行動に繋がりやすくなります。もちろん、個人差はあるでしょう。でも、アルコールの摂取によって、女性の体内ではテストステロンが生成されますので、傾向として強まることでしょう。

テストステロンは男性ホルモンのひとつで、性機能の維持やエッチ願望に影響しています。骨や筋肉の増強といった面もありますが、ここでは「テストステロン=性衝動」という側面を強調しています。

恋をしても綺麗にならない人の特徴

ストレスホルモン説

「コルチゾール」というストレスを受けた際に出るホルモンがあります。起床時にも多く分泌されますが、ここでは過剰なストレスによって多量に分泌するケースに焦点を合わせたいと思います。

このコルチゾールは血糖値を上げることで、ストレスから体を守ろうとしてくれるのですが、同時に活性酸素も発生させてしまいます。活性酸素は不安定な電子をもつ反応性の高い酸素で、自分が安定するために手近な細胞から電子を奪ってDNAを傷つけてしまいます。この状態は「体が錯びる」と表現され、老化とも呼ばれています。

ストレスは脳や体にダメージを与え、老化に繋がっているというのは、脳内物質の話をされずとも何となく理解されていることでしょう。先に、恋愛初期ではドーパミンが増え、セロトニンが減ると書きました。セロトニンが減ったことで不安が増し、それが多大なストレスになってしまうと綺麗になるどころの話ではないでしょう。

セロトニンは不規則な生活だと出にくくなるので、不安で眠れなくなったら負の連鎖が始まります。逆に生活リズムが規則的だと、睡眠時にメラトニンが出ます。メラトニンには体のリズムを調整し、睡眠を安定させる働きがあります。

とはいえ、栄養不足ではセロトニンも満足に生成できません。セロトニンはトリプトファンという必須アミノ酸からできています。必須アミノ酸は体内で作られないので、食事から摂取する必要があるアミノ酸のこと。人間が食事で摂るべき栄養素です。なお、セロトニンを作るにはビタミンB6が必要ですので、トリプトファン以外にも目を向けましょう。

セロトニンの生成は、運動する&入浴時にリラックスすることで促せます。他にも、好きな人と触れ合うことも効果的。この際、セロトニンと一緒にオキシトシンも分泌されます。オキシトシンは「幸せホルモン」「愛情ホルモン」と言われるもので、脳の疲れを癒して気分を安定させる効果があります。

好きな人以外との触れ合い、例えばペットやぬいぐるみとの接触でも出るそうです。触れるまでいかなくても、気の合う仲間と飲んで喋ることでも分泌されますが、その際の会話場所は狭くて互いの距離が近い方が効果は高まるとか。

負の感情が人を醜くする

脳は現実と想像の区別がつかない説

イメージトレーニングというのがあります。これが効果的だと言われる理由のひとつに、脳は現実と想像の区別がつかないという特徴が挙げられます。酸っぱいものを想像するだけでよだれが出るように、脳内イメージは体の機能に嫌でも働きかけてしまうのです。

よくないイメージは体に害を与えます。ストレスホルモン「コルチゾール」についての文章を読んだ後なら、それが老いを加速させることだとわかるはず。なので、不快なことで脳内を埋め尽くすのは避けたいところ。

だからといって、不快の原因となっている人を悪く言うのはオススメできません。倫理的な理由からではなく、科学的な理由から「やめた方がいい」と言えます。なぜなら、脳は誰に対する悪口か認識できない場合があるからです。

脳は聞こえてくる言葉の主語を探します。自分の口から出た言葉であっても、その発言を客観的に受け止めて主語を探します。主語がわからない場合は、自分に対する言葉として受け止めてしまいます。結果、自分が攻撃されていると感じ、ストレスを受けてしまうのです。そうなると、ストレスホルモン「コルチゾール」の出番です。老化が加速します。人の悪口ばかり言っていると、老いるのが早くなるかもしれませんね。

中には、悪口を言うと気持ちがいい人もいるでしょう。実際、言っているときはドーパミンが出ているので、何らかの快感を得ていても不思議はありません。ただし、同時にストレスも受けているので、量的に「ドーパミン < コルチゾール」だと、言うほどに不機嫌になっていくことでしょう。

愚痴を言いたいのであれば、話す相手に「愚痴るけど、聞いてもらっていい?」と確認し、話し終えたら「聞いてくれて、ありがとう」と言うくらいでないと、お互いにとってマイナスが大きいかもしれません。愚痴に許可と感謝の要素を加えることで、「気の合う仲間と喋る」行為に近づけ、オキシトシンを出すためです。

ついでの話になりますが、自慢話や説教をするときにも脳からドーパミンが分泌されていて、快楽を感じています。「あなたの為を思って」の説教は、自分が快楽を得るためにしているので、不快さを感じるのかもしれませんね。

しかも、中毒性があるから繰り返します。過剰なドーパミンというのは毒で、多すぎるとドーパミンの受け皿が減少します。感じにくくすることで身を守るわけですが、そうするとより強い刺激に走ります。スリルを求めて危ないことをし続ける人は、ドーパミンの受容体が鈍いのでしょう。ちなみに、買い物依存症も、この傾向が見られます。使わない物を買い続けている人は要注意。

【参考文献】脳はなんで気持ちいいことをやめられないの? コミックエッセイ [ 中野信子 ]

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↑ リンクを貼られたので、お返しに貼ってみた。