電子書籍が出版されるまでの流れ(Kindle出版ステップガイド)

私がKindleで電子書籍を出版した際の流れを、技術的な側面を中心に解説します。「何をどうやって出版したのか」つまり、「電子書籍って、どうやって作るの?」という、ゼロからの具体的な手順です。

ステップ1:電子書籍の形式を知り、原稿を準備する

ファイル形式の理解と変換

電子書籍の主流なファイルフォーマット規格は「EPUB」です。このEPUB形式に原稿を変換する必要があります。

  • テキストファイルで用意した文章をWordで縦書きに整形する。
  • Word文書を「Romancer」などのオンライン変換サイトでEPUB形式に変換する。(縦書き対応を考慮し、Romancerが選ばれました)

注意点:Kindleの他に楽天Koboなど媒体によって仕様が異なります。また、EPUBにもバージョンがあるため、古いバージョンしか対応していない変換サイトは避けましょう。

ステップ2:電子書籍の素材(原稿)を整形する

Wordでの原稿整形テクニック

より読みやすい電子書籍にするために、Wordで以下の処理を行いましょう。

記号の調整
縦書きに不向きな記号(例: 全角の二重引用符 “ ”)は避けることをオススメします。
目次・章分け
Wordの機能(「見出し1」「見出し2」など)を使って見出しを入れます。これにより、変換時に目次としてリンクが貼られます。(例: 本のタイトルを「見出し1」、章のタイトルを「見出し2」)
ルビ(ふりがな)
読みにくい漢字にはWordのルビ機能(「亜」の上に「ア」と書かれたメニュー)を使ってルビを入れます。
改ページ
章の終わりなど、区切りたい場所に改ページ(`Ctrl`+`Enter`)を挿入すると、読者が読みやすくなります。
傍点(圏点)
強調表示したい文字を選択し、「フォント」グループのメニューから「傍点」を選びます。
縦中横
「!?」や半角数字の一文字表記など、縦書き内で横に配置したい文字を選択し、「縦中横」機能を使います。

表紙画像の準備

文章以外では、表紙の画像が必須です。サイズや形式について、詳しい情報はAmazonのヘルプページを参照してください。

ステップ3:Amazon KDPへの登録と税務情報

アカウントと必要情報の準備

Kindleで出版するには、Amazonアカウントが必要です。また、以下の情報を登録することになります。

  • 出版者(出版社)情報
  • 販売代金を受け取る銀行口座情報

税務情報の登録

以前は手続きが複雑でしたが、現在は「Taxpayer Indetification Number(TIN)」が無いこと等を明言すれば完了します。

補足:この文章は、マイナンバー導入前の情報を参考に書いています。最新の情報はAmazon KDPの登録画面で確認してください。

ステップ4:商品データの入力と価格設定

必須の商品データ

以下の項目は入力が必須です。

  • 題名、フリガナ、ローマ字
  • 著者名、著者名のフリガナ&ローマ字
  • 本の内容(商品説明)
  • 登録カテゴリー
  • 販売価格

その他、本に関するキーワード(最大7つ)、年齢制限、版、シリーズといった項目もあります。

価格設定とロイヤリティ

  • 価格は99円~20,000円の範囲から選択します。
  • ロイヤリティを70%にしたい場合は、価格を250円以上に設定する必要があります(Kindleセレクトの条件によります)。
  • 主なマーケットプレイスは、日本の円基準にするなら「amazon.co.jp」を選択しましょう。

出版までにかかる時間(スピード感)

必要な情報とファイルを用意して出版申請を完了すると、本のステータスが「レビュー中」になります。通常、48時間以内に出版の可否が連絡されます。

初出版の場合
2017年4月3日17:10に申請し、同年4月4日2:24に販売開始。約9時間後に出版されました。
既存コンテンツの場合
既にウェブ上で本の内容が公開されている場合、申請後に権利確認のメールが送られてきます。メールに返信後、翌日の朝に再申請したところ、その日の昼には出版連絡がありました。

このように、審査のスピード感は比較的速いです。しかし、権利確認などが必要な場合は、追加のやり取りが発生することを覚えておきましょう。